新聞掲載記事平成28年6月

解体工事業の建設業許可について

Q. 当社は、解体工事業を営んでいます。解体工事業の建設業許可が新しくできたと伺いました。従来通り「とび・土工工事業」の建設業許可で工事をすることは違法になりますか?

建設業法等の一部を改正する法律が平成28年6月1日に施行されました。今回最大の改正は、建設業業種区分に39番目となる「解体工事業」が追加されたことです。これまで工作物の解体工事は「とび・土工工事業」に含まれていましたが、独立したひとつの専門業種として扱われることになりました。その背景には、高度成長期以降に建設された工作物の老朽化で解体工事量の増加が見込まれること、アスベストや騒音など環境面への配慮、重大事故の発生防止等、高度な専門的技術力が必要になったことがあげられます。

この改正により、施行日(平成28年6月1日)以降、1件の請負代金が500万円以上の解体工事を請け負うには、原則として解体工事業の許可が必要となります。ただし、法改正に伴う経過措置として、施行日時点でとび・土工工事業の許可を受けて解体工事業を営んでいる建設業者は、引き続き3年間(平成31年5月31日まで)は解体工事業の許可を受けずに解体工事を請け負うことが可能です。貴社の場合も、当面は今お持ちの許可で請け負うことができます。しかし、遅くとも施行日から3年(平成31年5月31日)を経過するまでに、新たに解体工事業の許可を取得する必要があります。

また、建設業許可要件である、専任技術者にも経過措置が設けられています。施行日時点で、とび・土工工事業の専任技術者の要件を満たしている者は、平成33 年3 月31 日までの間は、解体工事業の専任技術者とみなされます。一部の資格には、登録解体工事講習の受講又は解体工事に関する実務経験がないと経過措置後、引き続き専任技術者になれない資格もありますので、貴社の専任技術者の資格をご確認ください。平成33年4月時点で解体工事業の要件を満たした専任技術者を置いていない場合は、解体工事業許可は取り消しとなりますので、十分ご注意ください。

なお、土木一式工事や建築一式工事の中で行われる解体工事は、従来通り「土木工事業」や「建築工事業」の許可で対応出来ます。

建設業においては、500万円未満の軽微な工事に該当する場合、建設業許可は不要とされています。しかし、解体工事に限っては、500万円未満であっても「解体工事業者登録制度」は、これまで通り適用されます。工事を行う都道府県ごとに登録が必要になりますので、ご注意ください。

みくに労務管理事務所  社会保険労務士 児玉いずみ

ページの先頭へ戻る