新聞掲載記事平成30年3月

入社時の健康診断

Q 4月1日から新卒社員が入社します。入社時の手続きの中には健康診断があると 聞きました。詳しく教えて下さい。

A 新卒社員の入社にあたり人事担当の皆様は慌しい時期を迎えます。労働条件通知 書の交付、就業規則の説明、新入社員研修会の開催、社会保険の各種手続き等々盛り沢山です。これらのなかに労働安全衛生規則第43条の雇入時の健康診断があります。詳しくみてゆきましょう。

加入できるのは、原則的には20歳から60歳までの方です。会社員や自営業者、専業主婦など職種にかかわらず加入できることが特徴です。ただし、国民年金の1号被保険者で保険料の免除を受けている方など加入資格のない方もいるので、金融機関に相談してください。掛金は月々5千円以上、千円単位で設定できますが、上限が1万2千円~6万8千円までと決められていて、上限は加入している年金制度により異なります。掛金の変更は公的年金の種別変更時を除き、年1回することができます。

会社は、常時使用する社員には1年に一度の定期健康診断を実施することは周知の 通りですが見落としがちなのが雇入時の健康診断です。実施目的は会社が入社する社員の健康状態をキチンと把握し適正な配属をする為のものです。

健診機関に雇入時の健診として申込をしますが、雇入時健康診断と定期健康診断はその実施方法に違いがあります。前者は健康診断項目を省略できません(入社時の健康状態をキチンと把握しておくため)が、後者は身長、体重、エックス線検査などの検査項目のうち複数について医師が必要でないと認める項目について省略できるとされています。

ただし、雇入時の健康診断を実施した場合は実施日から1年間に限って一般定期健康診断で規定された項目について健康診断を受診しなくても差し支えないとされています。

その他健康診断について良くいただくご質問には、パートタイマーの健康診断の受診や深夜業等に従事する社員の健康診断義務が有ります。

原則はパートタイマーであっても1年以上継続雇用する予定または1年以上継続勤務した方で1週間の所定労働時間が社員の4分の3以上の方は健康診断の受診対象となります。深夜業に従事する社員の場合は通達によると6ヶ月平均で1か月に4回以上深夜勤務する社員には6ヶ月に一度の健康診断が必要となります。

会社は健康診断結果に基づき健康診断個人票を作成し5年間保存義務が有りますし、対象者が50人以上場合は「定期健康診断結果報告書」を労働基準監督署へ届出しなくてはなりません。

過労死問題がクローズアップされる中、群馬労働局でも最重要施策として働きすぎ防止に向けた取組の推進が掲げられ荷重労働が行われているおそれのある事業場に対して監督指導が行われています。1 か月100時間を超え疲労の蓄積が認められる社員からの申出があれば医師の面接指導も行う必要があります。

入社から退職まで社員の健康を維持し企業の活性を保つ為にも適切な健康管理を進めて下さい。

みくに労務管理事務所 飯島明美

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