新聞掲載記事平成27年9月

昭和12年4月1日以前生まれの在職老齢年金

Q. 私は、昭和11年生まれの79歳で、会社の代表取締役をしています。現在は、厚生年金の保険料は支払っておらず、役員報酬と老齢年金の満額をもらっています。平成27年10月より年金が一部支給停止になる可能性があるとききましたが、どういうことでしょうか?

平成27年10月より、厚生年金と共済年金の一元化に伴い、70歳以上の在職老齢年金の仕組みも改正になります。

現在、厚生年金では、70歳以上の方は厚生年金の加入者とはならず、報酬を得ていても厚生年金保険料を支払う必要がありません。しかし、平成19年4月1日より厚生年金の適用事業所に勤務する70歳以上の常勤の方は、一定の要件に該当した場合、在職中の老齢年金が停止する仕組みが導入されました。ただし、この時点ですでに70歳以上であった昭和12年4月1日以前生まれの方は経過措置として適用除外とされました。

一方、共済年金には、70歳になると加入者ではなくなるという規定はなく、一定の要件に該当すれば生年月日に関わらず在職中の老齢年金が停止になります。一元化後は、共済年金に合わせて、厚生年金で昭和12年4月1日以前生まれの方(78歳以上)に設けられていた適用除外の措置をなくそうというものです。

支給停止額の計算には、60歳台後半(65歳から69歳)の在職老齢年金の仕組みが適用されます。報酬月額と年金月額(老齢基礎年金と差額加算は含みません)との合計額が47万円を超えた場合、超えた額の2分の1が支給停止になります。ただし、今回の改正で該当となる78歳以上の方には激変緩和経過措置が設けられていて、停止額は報酬月額と年金月額との合計額の10%が上限とされています。

具体例として、報酬月額が50万円、年金月額が15万円の場合は次のとおりです。

  • 本来の支給停止額
    ( 報酬月額 + 年金月額 - 47万円 ) ÷  2
    ( 50万円 + 15万円 - 47万円 ) ÷ 2 =  9万円
  • 激変緩和経過措置
    ( 報酬月額 + 年金月額 ) ×  10%
    ( 50万円  +  15万円  ) ×  10%  =  6.5万円

支給停止額は①9万円と②6.5万円を比較し、低い方②6.5万が停止額になります。


78歳以上で常勤し報酬を得ている方は、役員の方が多いと思われます。該当する方がいる会社は、すみやかに年金事務所へ「70歳以上該当届」の提出が必要となりますのでご注意ください。

みくに労務管理事務所  社会保険労務士 児玉いずみ

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