新聞掲載記事平成27年7月

マイナンバーについて

Q. 私は、中小企業の事業主です。このたび、マイナンバー制度が始まると聞きましたが、従業員を雇用している事業者はどのような対応が必要になるのでしょうか?

マイナンバーとは、国民一人ひとりに割り当てられる12桁の個人番号です。国や地方公共団体で分散管理されている個人情報が、同じ個人の情報であることを確認することが可能となり、行政の効率化・国民の利便性の向上・公平、公正な社会の実現をもたらすことが期待されています。

マイナンバーは、平成27年10月より、住民票の住所に「通知カード」として郵送されます。通知の際には「個人番号カード」の申請書が同封されています。「個人番号カード」は顔写真付きで身分証明書として広く利用できるカードで、申請者には無料で交付されます。住民票の住所とは異なるところにお住いの方はマイナンバーの通知が受け取れない場合がありますので注意してください。マイナンバーは、平成28年1月より、社会保障・税・災害対策の行政分野での利用から始まります。これに伴い民間事業者も、法律で限定的に明記された税と社会保険の手続きにマイナンバーを使用します。税と雇用保険は平成28年1月より、健康保険・厚生年金保険は平成29年1月より、関係書類に従業員のマイナンバー記載が必要となるため、事業者は従業員からマイナンバーを取得しなければなりません。マイナンバー取得の際は、利用目的をあらかじめ従業員に通知し、厳格な本人確認をする必要があります。個人番号カードがあれば、1枚でマイナンバーの確認と身元の確認が可能ですが、個人番号カードを取得していない場合は通知カードと運転免許証などで身元確認が必要です。取得したマイナンバーは、従業員に通知した目的以外に利用・提供することはできません。たとえ、従業員の同意があったとしてもマイナンバーを社員番号に利用することはできません。

マイナンバーを含む個人情報は特定個人情報と呼ばれ、法律で限定的に明記された税と社会保険の事務処理を行う必要がある場合だけ保管が認められています。退職等で管理をする必要がなくなった場合は、各法令で定められた保存期間をもって、すみやかに廃棄や削除をしなければなりません。

このように特定個人情報の取扱いは、従来の個人情報よりも厳格に行う必要があり、事業者は安全管理措置を講じなければなりません。具体的には、マイナンバーを扱う事務の範囲を明確にして、事務取扱担当者を特定するなど、社内体制を整備し、マイナンバーが記載された書類は、鍵のかかる棚などに保管し、パソコンなどでデータ管理している場合にはセキュリティ対策を行い情報漏洩が起こらないように対応を実施してください。

上記の具体的な取扱いは「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」が特定個人情報保護委員会より発表になっていますので、そちらを参考になさってください。

みくに労務管理事務所 社会保険労務士 児玉いずみ

ページの先頭へ戻る