新聞掲載記事平成26年10月

建設業と社会保険について

Q. 私は昨年から工務店を営業しています。同業者方から平成29年度までに社会保険に入らないと営業できないと聞きましたがいかがでしょうか。

ご質問のとおり、平成24年から国土交通省の社会保険未加入対策が始まり、平成29年度までに建設業許可業者の100%加入を目指しています。

何故このような政策がはじまったかの理由については、建設業における若手の人材の減少を改善し、最低限の福利厚生(社会保険)を確保して他産業に劣る就労環境を改善する為とされています。

具体的な方法として、行政による未加入のチェックが平成24年11月から始まっており、建設業の許可・更新時、経営事項審査(経審)時等に加入状況を確認し、未加入の場合には加入指導が行われることになっています。これらの情報は建設業担当部局から保険担当部局へ通報されることとされています。

さらに、国は元請企業を通じて下請企業への周知、啓発、指導、保険加入者の優先活用を求める他、関係者一体となった取組として建設業関係登録団体73団体等と未加入対策推進協議会を立上げた取組も進めています。

さて、ご質問の件について、未加入対策が進められている社会保険は大きく分けると労働保険(労災保険と雇用保険)、社会保険(医療保険と年金保険)に別かれます。

労働保険は原則として従業員が一人でもいれば適用となります。一方、社会保険は事業所が法人または個人営業で常時使用する従業員が5人以上の場合は厚生年金と健康保険に加入義務がありますが、個人営業で従業員4人以下の場合は国民年金と国民健康保険の加入となります。

したがって、社会保険未加入の対象は一律でないと言う訳です。貴方の事業を上記に当てはめてご確認下さい。

気になる事業主負担の保険料ですが、建設業の雇用保険の事業主負担は給与支払額の1.05%、厚生年金は8.737%、健康保険5.835%(含む介護保険)となります。月給20万円の場合で約3万円の負担になりますので、国民健康保険と国民年金で済む場合とでは事業主負担は重くなります。国は企業の負担を軽減するため標準見積書により法定福利費を別枠で請求する方法も進めています。今後適正価格でご契約いただき、建設技能労働者が夢と希望をもって働ける環境が整うと良いですね。

みくに労務管理事務所 社会保険労務士 飯島明美

ページの先頭へ戻る