新聞掲載記事平成24年8月

社会保険未加入の影響について

Q. 私は建設業を営んでいます。まだ社会保険に入っていないのですが、何か影響がありますか?

閣議決定により平成24年10月1日より納付可能期間が今までの2年間から、10年間(平成24年10月1日から平成27年9月31日までの3年間の時限措置)に延長する事が決定しました。これを年金確保支援法(後納制度)といいます。
後納制度の対象期間は国民年金の保険料の徴収権が時効消滅した期間であって、承認日の属する月前10年以内の期間で、納付期限は後納対象月から10年後の月末までとあります。ただし、3年以上前の保険料を納付する際には、保険料に加算金が上乗せされ、後納保険料の額としては納付期限が以前から10年である全額免除の追納額と同額となります。
なお、現在の日本の年金制度では原則として25年以上の受給資格期間を満たしていることが必要ですが、一定の要件に該当する場合には、受給資格期間を満たしたものとする次の1.から3.の特例が設けられています。

  • 昭和5年4月1日以前生まれの者の特例
    保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が、生年月日に応じて21年から24年以上の期間であるものは、受給資格期間を満たしたものとされます。
  • 被用者年金制度の期間の特例
    厚生年金及び船員保険の被保険者期間、共済組合等の組合員又は加入者期間を合算した期間が、昭和31年4月1日生まれ以前の人は、生年月日に応じて、20年から24年以上の期間であるものは受給期間を満たしたものとされます。
  • 厚生年金保険の中高齢者の特例
    ① 男子は40歳、女子は35歳以後の厚生年金の被保険者期間が、
    昭和26年4月1日生まれ以前の人は生年月日に応じて15年から19年以上の期間であること。
    ② 35歳以後の厚生年金保険の第3種被保険者(船員・抗内員)又は船員任意継続被保険者としての
    被保険者期間が、昭和26年4月1日生まれ以前の人は生年月日に応じて15年から19年以上の期間があること。

このように日本の年金制度は基本的には25年の期間、保険料を納付しなければ受給権を得ることができません。つまり、受給権を満たさないと1円も年金を受け取ることができないということになります。この非常に長い保険料納付期間のために、65歳以上の無年金者は42万人いると言われています。そこで今回の後納制度を利用できれば約17万人が年金を受給できると予測されています。しかし、10年分の保険料は約170万円以上にもなるため、実際には無年金者の救済にはあまりならないのではないかとは思います。それでも、年金額を少しでも増やしたいと思っている人には朗報なのではないでしょうか?

みくに労務管理事務所 社会保険労務士 古川

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