新聞掲載記事平成24年7月

国民年金の10年納付について

Q. 国民年金の納付可能期間が変わるって聞いたのですが、いつからでしょうか?

国土交通省は建設業における社会保険未加入問題の対策として、

  • 建設業の許可申請書の添付書類として、保険加入状況を記載した書面を追加します。
  • 施工体制台帳等の記載事項に「社会保険加入状況」を追加します。
  • 経営事項審査における保険未加入企業への減点措置を追加します。

※①②は平成24年11月1日施行予定③はすでに平成24年7月1日に施行済み

という告示をしており、公共事業の入札等に大きな影響がありますので未加入の事業所は至急社会保険加入をお勧めします。ただし、従業員が5人未満の事業主や一人親方の他、適用除外措置を受けて建設業関連の国保に加入している場合は協会けんぽに入り直す必要はありません。

今回の対策がとられた背景としては、建設業における社会保険の加入状況に関する調査を実施したところ、雇用者数に占める被保険者数の割合が、雇用保険50.7%、厚生年金保険61.8%とその低率は顕著に表れていることから平成22年12月に第1回目の「建設産業戦略会議」が国土交通大臣の指示受け開催され対策が検討されました。
そして、建設業の社会保険未加入となっている事業所が多い原因について、次のことが挙げられています。まず、公共事業等は減少傾向にあります。このような建設業を取り巻く経営環境が厳しさを増し、競争が激化する中においても、利益を確保する必要があることから、雇用、医療、年金に関する法定福利費の事業主負担は経営者にとって重いということです。一方、労働者の側においても、賃金から社会保険料が控除されることを避け、保険に入りたがらない傾向にあることも、未加入の一因となっています。さらに、労使ともに社会保険に加入することが義務であることを知らないということや、社会保険に対する知識がないということも、指摘されています。また、これまでの建設産業行政においては、制度的に社会保険への加入状況を把握することはされていませんでした。社会保険に未加入である企業に対する指導等も、なされていない状況にありました。
そもそも、建設産業においては、下請企業を中心に法定福利費を適正に負担していない企業が存在し、それが技能労働者の公的保証部分の処遇を低下させています。また、法令順守している企業ほど高コストになり、競争上不利になるという矛盾が生じていました。
今回の社会保険未加入問題に対する対策の他にも、社会保険に加入していないとハローワークで求人を出すことができません。これからは他の業種に関しても社会保険に加入していないと不利益になることが増えてくると思われます。

みくに労務管理事務所 社会保険労務士 古川

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